Lesson11-1 一・二年草

植物は、一年草、二年草、多年草、宿根草などの種類に分類されます。その名称から、それぞれどのような特徴を持っているかを想像することはできますが、具体的にどういった違いがあるのか、管理はどのように行えばよいのか分からないという方も多いと思います。

このLessonでは、それぞれの植物の種類について具体的に解説していきます。

一年草

一年草は種蒔き後、その年のうちに発芽、開花、結実、枯死までのサイクルを完結する植物です。別名、”一年生植物”や”一年生草本”とも呼ばれる。また、1年草には、春に種を蒔く「春まき」と秋に種を蒔く「秋まき」の2種類があります。

春まき一年草

春まきは熱帯地域原産のものが多いため寒さに弱く、春に種を蒔いて、夏に開花したら、冬には枯死します。種蒔きのタイミングは、植物の種類や気温にもよるが、4~5月が目安となります。暖かくないと発芽しにくいため、十分に気温が上がってから種蒔きをするのがポイントです。

下記は、種蒔きの適期と自然開花時期になります。※品種によって異なる場合は、その全ての期間を含めます。

花の名前 種まき適期 開花時期
アサガオ  5〜6月  7〜9月
マリーゴールド  4〜7月  5〜11月
ペチュニア  3〜5月  5〜11月
コスモス  3〜7月  6〜11月
ヒマワリ  4〜5月  6〜9月
ニチニチソウ  4〜5月  6〜11月

アサガオ

「夏の風物詩」としても親しまれているアサガオ。夏の暑い日差しの中で、青や紫のきれいな花を咲かせます。

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別名/牽牛子(ケンゴシ)
草丈/20cm~6m
花径/5~10cm
開花期/7~9月

POINT:アサガオは、一年草か多年草かの種類によって育て方が異なります。一般的なのは一年草で、種を育てる温度は20~25度が最適です。過湿を嫌いますが、乾燥させすぎると生長が遅くなります。多年草のアサガオは、ノアサガオと呼ばれる種類で、開花時間が長く、つるを切るタイミングが違います。

ペチュニア

春から秋にかけて長い間咲くペチュニア。品種が豊富で、様々な花色・形・大きさのものがあるため、好みに合わせて楽しめます。

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別名/ツクバネアサガオ
草丈/10cm~40cm
花径/小輪(3cm~5cm)大輪(7cm~10cm)
開花期/5~11月

POINT:開花中は肥料を切らさないようにし、日当たりの良い場所で育てます。
発芽温度が高めなので、タネまきは春の遅めにするのが良いでしょう。

ニチニチソウ

真夏の炎天下の暑さや乾燥に強い花です。長い花期の間、毎日新しい花を咲かせることから「ニチニチソウ(日々草)」の和名が付けられました。

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別名/ビンカ
草丈/20cm~60cm
花径/2cm~5cm
開花期/6~11月

POINT:生育中は肥料を切らさないようにし、水のやり過ぎによる過湿に気をつけましょう。
日当たりのよい場所で育てることが大切です。日照不足になると茎が間延びして倒れやすくなり、花付きも悪くなります。

秋まき一年草

秋まきは暑さと湿気に弱く、秋に種を蒔いて年を越し、翌春に咲いて夏に枯死します。種蒔きのタイミングは、9月頃が適期とされています。種を蒔く時期が早すぎると、温度が高すぎて発芽しないことがあります。また、遅すぎても寒さでよく育たないことがあるため、心地よい暖かさを感じたら種蒔きを始めましょう

花の名前 種まき適期 開花時期
パンジー  8〜9月  11〜5月
デイジー  9〜10月  3〜7月
カスミソウ  9〜11月  5〜7月
スイートピー  9〜10月  4〜6月
ネモフィラ  9〜10月  4〜6月
ワスレナグサ  9〜10月   5〜7月

ただし、店頭に流通するものは、海外から輸入されているものもあり、輸出国では宿根草として扱われているのに、日本では一・二年草として扱われているものもあります。これは、輸出国と日本の気候環境の違いによるものです。したがって、店頭に流通している時期と自然開花期が異なる点を理解しておくことも大切です。

デイジー

冬から春にかけて長く花を咲かせるデイジー。太陽光がさすと金色の花芯を見せて花を開き、陽のない日や夜に花をすぼめる性質にちなんで、日の眼の意を持つ「day’s eye(デイズアイ)」が語源です。

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別名/ヒナギク、チョウメイギク、エンメイギク
草丈/15cm~40cm
花径/2cm~8cm
開花期/3~7月

POINT:デイジーは本来毎年花を咲かせる多年草ですが、暑さで枯れることが多く、1年草として扱うのが一般的となっています。冬が来るまでに苗を大きく育てるようにし、日当たりの良い場所で育てましょう。

スイートピー

ほのかな甘い香りがすることから “Sweet pea(甘い豆)”という花名がつけられ、ブーケとしての人気も高い花です。

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別名/カオリエンドウ、ジャコウレンリソウ、ジャコウエンドウ
草丈/15cm~3m
花径/4cm~5cm
開花期/4~6月

POINT:スイートピーは日当たりと水はけのよい場所を好みます。タネは庭や鉢に直接まくとよいですが、ある程度の大きさになったら芽先を摘んで枝数を増やすようにしましょう。

ネモフィラ

澄んだブルーの花が愛らしく、群生させると花の絨毯のように見事なネモフィラ。昨今では「ひたち海浜公園」のみはらしの丘の群植が注目されています。

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別名/ルリカラクサ
草丈/10cm~20cm
花径/2cm~3cm
開花期/4~6月

POINT:水と肥料は控えめにしながら育てます。混み合った茎は間引き、風通しをよくしましょう。
枯れた葉や花はこまめに摘み取るとよいでしょう。

二年草

二年草は、種を蒔いたその年に茎葉や根を張り、冬は休眠し、翌年の春~夏にかけて開花し、結実、枯死する植物です。別名、”二年生植物”や”二年生草本”、”越年草”とも呼ばれる。

気候状況によっては3~4ヶ月といった短期間で枯死してしまうものもあるため、一年草のように生育することもあります。また、一年草植物に比べて、二年草植物となるものは非常に少ないです。

花の名前 種まき適期 開花時期
ジキタリス  3〜5月  5〜11月
カンパニュラ  5〜7月  4〜5月
ルナリア  3〜5月  5〜11月
フダンソウ  3〜5月  5〜11月
パセリ  3〜5月  5〜11月

ジキタリス

ベル形の花を穂状につけ、すらっと優雅に花茎を伸ばす姿が、洋風ガーデンで人気のジキタリス。花の色は紫を中心に、白、ピンク、イエローなど多彩です。

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別名/キツネノテブクロ
草丈/30cm~180cm
花径/2cm~4cm
開花期/4~6月

POINT:肥料は控えめで大丈夫ですが、水はけのよい土で育てましょう。寒さには強いですが、暑さはやや苦手ですので、注意して育てましょう。

カンパニュラ

ヨーロッパでは古くから栽培されてきたカンパニュラ。長さ5~7cmの釣り鐘形の花を上向きに咲かせます。

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別名/フウリンソウ、ツリガネソウ
草丈/30cm~100cm
花径/2cm~6cm
開花期/4~5月

POINT:カンパニュラは高温多湿を避けることが大切です。酸性の土壌では育ちが悪くなります。秋にタネをまくと開花は翌々年になることがあるので注意しましょう。