Lesson10-3 薬剤の使い方と注意点

市販されている園芸用の薬剤は、どれも効き目に優れており、病害虫から植物を守ります。反面、間違った使い方をすると、効果が出ないばかりか、余計に植物を傷めることもあるため、正しい知識を習得しておきましょう。

薬剤のタイプ

そのまま使えるタイプ

希釈の必要がないタイプで手軽。ベランダガーデニングや小さな花壇などに向いており、ガスと一緒に噴射されるエアゾールタイプはパワーがあり、離れた害虫に噴射するのに最適です。勢いがある分植物を傷めてしまうこともあるので、近くで噴射するにしても30cmの間隔は空けましょう。

希釈タイプ

おもに、粉状の水和剤と液状の乳剤からなり、濃度を薄めて使えるので経済的。希釈後は噴射機やスプレーに入れて散布します。それぞれ希釈の方法に違いがあるため、パッケージや容器に書かれた取り扱い説明等に従って正確に希釈すること。散布後に余った液は、効果がなくなるため、保存せずに捨てて、使用後の噴射機をきれいに水洗いすることも忘れずに行いましょう。

その他のタイプ

薬剤にはそのほか、土に撒くだけで植物に吸収され、害虫を予防する”粒剤タイプ”や切り戻しや剪定後の切り口に塗り、病原菌の侵入を防ぐ”ペースト状タイプ”、害虫のエサに薬剤を練り込み、食害する前の害虫を誘引し、食べさせて駆除できる”ペレット剤タイプ”など、さまざまな種類があります。植物や病害虫の種類によって上手に使い分ける必要があるため、こちらも取り扱い説明等をよく読んでから購入、適切に使うことが大切。

薬剤の散布準備と散布の注意点等

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まず、散布する植物付近に衣類を干しているならば全て取り込み、近隣住民、ペット、池、車などに飛散しないように配慮が必要です。また、薬剤に触れたり、吸ってしまわないようマスクや手袋、肌を露出しない衣服などを着用し、十分に安全を確保しましょう。

散布は風のない朝夕に行います。薬剤散布中は、途中で休憩をはさむことなく一気に終わらせます。その際、かけむらがないよう害虫が潜みやすい葉裏にもきちんと散布しましょう。また、集合住宅のベランダで行う場合、飛散しないよう細心の注意が必要です。小型のコンテナであれば、大きめのビニール袋の中にコンテナを入れて、その中で散布しましょう。

庭や花壇の散布後に余った液は、土に埋めて処理します。液は土中ですぐに分解し、毒性は残りません。ベランダやインドアガーデニングで余った液や薬剤のボトルなどの処理は、各自治体に問い合わせましょう。

家庭にあるもので予防・駆除する

少数のコンテナや病害虫が少ない場合には、200ccの水に台所用洗剤を1~2滴入れたものをアブラムシなどにスプレーすることで駆除できます。落ちた死骸は放置せず除去しましょう。水の変わりに、ニンニクや唐辛子を煮詰めたものに台所用洗剤を1~2滴入れれば、効き目がさらに増します。