Lesson12-2 ガーデンセラピーの実践知識

ガーデニングが私たちにもたらす効果、特にストレスを解放することに大きな意味を持つことはLesson12-1で学んできたとおりです。ここでは、自宅で実践できるガーデンセラピーについて学習していきます。

でも、「わが家に庭はない…」と思っているのではないでしょうか。しかし、ここまで学習してきたあなたなら、狭いスペースでも十分に楽しめる方法が分かるはずです。例えばベランダガーデンなど、限られたスペースにいくつかの鉢を置くだけでも良いと思います。植物を育てる楽しさや生長を見る喜びを感じられるだけでも、こころにゆとりを持つことができるでしょう。

自宅で実践できるガーデンセラピー

レモンの香りを楽しむ”メディカルガーデン”

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レモングラスの香りをかぐと、交感神経の働きが活発になり、前頭葉の血流量が増えることが分かっています。認知症の改善効果も明らかになっています。そのほか、疲労時のリフレッシュや集中力を高めるにも柑橘系の香りが有効と言われています。下記、レモンの芳香がする植物でメディカルガーデンを試してみては?

  • レモン:5月前後に約1ヶ月花を咲かせ、10月頃に果実を収穫できます。日当りの良い場所を好みます。
  • レモングラス:宿根草に分類される植物で、春から秋にかけて細長い1メートルにもなる葉をつけます。触れるとレモンのようなフレッシュな香りを漂わせ、ハーブティーや料理などに使用されることでもよく知られています。日当りの良い場所を好み、暑さには強いが寒さに弱い。
  • レモンバーベナ:葉に触れると強いレモンの香りを放ちます。たっぷりの日光と水を好みます。ハーブティーやお菓子づくりにも使用される。
  • レモンタイム:葉に触れるとレモンなような香りを漂わせます。蒸れに弱いため、夏は風通しに注意。梅雨前には収穫もかねて刈り込みすること。

作物を育てる”キッチンガーデン”

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見て楽しむだけでなく、作物を自分で育て、それを料理に使うキッチンガーデンは、今もっとも人気のあるガーデニング。菜園での野菜・果物づくりは、前述した五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を刺激し、心身の健康に大きな効果をもたらします。たとえば、忘れかけた記憶を呼び起こしたり、感受性を豊かにします。

また、栽培は天候に合わせて水やりや肥料のタイミングを考えたり、季節に応じて植物を移動させる必要があるなど、工夫して作業することが求められます。さらに、立ったり、座ったりを繰り返すことで、筋力や骨の増強にもつながります。

まずは、好きな植物や育てるのが簡単なものを生育し、慣れてきたら収穫時期を考慮してさまざまな野菜・果物の栽培に挑戦してみるのもよいでしょう。

生き物を楽しむ”ビオガーデン”

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ビオトープはドイツ語で”生物の生息空間”という意味の言葉です。このビオトープとガーデニングを組み合わせて作るのをビオガーデンといい、”水辺”をベースにくつろぎの庭園を演出します。

園芸種だけでなく、その地域に植生している雑木を取り入れたり、本来除草の対象となる野草を多少なりとも残し、野生生物にとって好ましい自然な要素を含ませます。こうすることで、野鳥がやってきたり、小さな生態系が生まれ、生息する場所として役割を果たします。ただしガーデンセラピーは、人の利用を前提としているので、状態を維持していくために草刈りや剪定などの管理も大切です。

そしてあなたは、植物と生物が共存する空間のなかで、生命を持つものが、その命を懸命につないでいこうとする姿を目の当たりにすることで、心が癒されたり、活力が湧いてくるでしょう。ビオガーデンの作り方のポイントをいくつかご紹介します。

  • 水生植物と岸辺植物の生育位置を確認して植え付ける
  • 浮遊植物を使って、水中の生物の隠れ場所を作る
  • 池底に石を敷いて、生物のすみかを作る
  • 夏期は噴水を作って、水中に空気を取り入れる