ときに植物も人間と同じく、病気に侵されることがあります。発見や対応が遅れたり、間違った手当をするとさらに深刻な状態に陥るのも人間と変わりありません。ですから、少しおおげさな表現かもしれませんが、植物も同じ”生きもの”として扱い、徹底した予防と対策を心がけたいものです。

病気の症状と予防・対策
それぞれの植物にとって、清潔で快適な環境を作ることが基本です。風通しや日当りはもちろん、枯れ葉を取り除いたり、定期的に植え替えてあげるなど、つねに植物の周囲を清潔に保つことが大切です。
病気によって、発生時期や被害もさまざま。ここでは、病気によって植物にどんな被害が現れるかをもとに、病気の予防と対策を学習していきます。
| 病気 | 症状 | 予防 ・対策 |
| 灰色カビ病 | 花びらや茎に、水がにじんだような病斑が現れ、それが植物全体に広がっていき腐敗します。 | 予防は前述の基本を守ることと病原菌の発生を防ぐため、枯れ落ちた葉は見つけ次第除去する。発症した場合は、症状が出ている部分を全て切り落とします。全体に広がってしまっていたら植物自体を処分しましょう。 |
| すす病 | 葉茎がすすで黒ずんだように汚れ、汚れによる呼吸障害で傷みます。 | アブラムシやカイガラムシなど、吸汁性タイプの害虫から出る排泄物につくカビが原因のため、害虫の予防を徹底すること先決です。発症した場合は、症状が出ている部分を全て切り落とします。 |
| うどんこ病 | 新芽や葉、茎などにうどん粉をまぶしたような白いカビが現れます。低い湿度で暑い時期に発生しやすい病原菌で、全体がカビで覆われると呼吸障害で枯れてしまいます。 | 基本を守り、チッ素の含有量が少ない肥料を使用することが予防につながる。発症の初期段階は、酢3cc:水50ccの割合で混ぜた食酢を散布すると回復が見込める。症状が広がっていたら、症状が出ている部分を切り落とし、殺菌剤を散布して拡大を防ぐ。 |
| サビ病 | 葉に小さなイボ状の病斑ができ、植物の生育を妨げ、枯死することがあります。病斑は、植物によって白、黒、褐色、橙色などと、色や形がさまざま。 | 多湿の環境で発生することが多いため、風通しのよい環境で育てることが予防につながる。対策は、病気になってしまった葉や茎は全て切り落とす。発生初期に薬剤を散布するなどがあります。 |
| 黒斑病 | 葉に黒い病斑があらわれる病気で、放置すると植物全体を侵蝕し、生長が止まり、しだいに枯れていきます。 | 高温多湿の環境で発生するため、風通しのよい環境で育てることが予防につながる。病気にかかった部分は回復しないため、全て切り落とし、拡大しないようにしましょう。 |
| 赤星病 | サビの一種で、葉裏に褐色の毛羽だった病斑があらわれ、病気にかかると次第に枯れていきます。病原菌はビャクシン類に潜み、他の植物へ移動してきます。 | 予防は、ビャクシン類の近くで他の植物を育てないこと。病気にかかったら、葉っぱを切り落としましょう。 |
しっかり予防をしていて病気になってしまった場合でも、発生初期なら適切な手当をすることによって回復は見込めます。植物からのSOSを見逃さないために、日頃から状態をチェックするよう努めましょう。