植物が傷む大きな原因の一つに「害虫」があります。大切な植物を害虫から守るための対策と予防を学習し、被害を最小限にくい止めましょう。

害虫が発生しやすい環境や育て方
- 風通しが悪く、ジメジメした場所
湿度が高いと害虫が発生しやすくなります。風通しのよい場所に置いたり、剪定を施し、ジメジメした環境を避けましょう。特に室内園芸では注意が必要です。ときどき日光に当ててあげることも効果的です。
- 水やりのしすぎ
水やりの量や頻度が多いことも蒸れる原因になります。「土が乾いたら与える」という水やりの基本を守り、受け皿に流れ出た水は捨てるなどを徹底しましょう。多くの植物が休眠期に入る冬の間は、やや乾燥気味で育ててあげます。
- 土が清潔に保たれていない
購入した植物をそのまま育て続けている方は意外と多いですが、もともと土に潜んでいた虫がわいてくることがあるため、すぐに植え替えをして、土の状態を清潔にすると良いでしょう。
- 枯れ葉やほこりの放置
枯れ葉や葉についたほこりを放置していると、そこから病原菌が発生し、植物が病気にかかってしまうことがあります。こまめに取り除き、清潔な環境を維持しましょう。
害虫別の予防と対策
害虫には、植物を食害するタイプと植物の体液を吸収するタイプが存在します。食害するタイプの虫は、新芽や若葉などやわらかい部分から食べていくので、これらを優先的にチェックする。また、害虫は肉眼では見えづらいものや葉裏に隠れる習性を持つものもいるので、こまめに、くまなくチェックする必要があります。さらに害虫によっては、夜に活動するタイプもいるので、日中に探して見つからない場合は、夜にチェックするのが効果的です。
このように害虫によって、症状や発生する場所や時間帯もさまざまです。下記、植物にどんな症状が出るのかをもとに、予防と対策を紹介します。
| 害虫 | 対策 | 予防 |
| ハダニ |
発見が遅れがちになる極めて小さな虫。葉裏に寄生し、生長が止まります。専用の殺ダニ剤を散布します。 | 高温と乾燥を好むため、夏やベランダガーデニングに発生しやすくなります。基本は風通しをよくし、ときどき葉水をかけて予防しましょう。 |
| アブラムシ | 新芽や葉裏に寄生する害虫で、生長を妨げるだけでなく、ウイルスを媒介することもある。ほとんどの殺虫剤で駆除できます。 | アブラムシによる多少のダメージに耐えられるよう植物自体を丈夫な体に育てることが基本。それ以外は、発生しているかこまめにチェックすること。 |
| カイガラ ムシ |
貝殻に似た殻をもつ害虫で、茎枝に寄生し、樹液を吸収し生長を妨げます。排泄物は病気の原因にもなる。幼虫のうちに薬剤を散布して駆除します。 | 冬にマシン油乳剤という薬剤を散布すると効果的に防除できます。マシン油乳剤はとくにハダニ類、カイガラムシ類の成幼虫に対し効果を発揮します。 |
| コナジラミ | 2~3mmと小さくセミに似たような姿をした害虫で、卵、幼虫、さなぎ、成虫と様々な生態を持ち、葉を傷め、すす病を起こすこともあります。数日おきに薬剤を散布し、駆除します。 | 風通しをよくしておくのが基本。特に室内では注意。薬剤を予防散布するのもよいでしょう。 |
| イモムシ | 葉脈を残して若い葉や花を食害します。見つけ次第捕殺するのが確実。その後薬剤を予防散布します。捕殺のときは直接触れないよう十分注意が必要。 | ガやチョウが卵を産みつけるのを防ぐため、予防散布しておくと発生を防げます 。 |
| センチュウ | 土中にすむちいさな害虫で、根の組織に入り込み、養分を吸収して植物の生長が止まります。一度発生してからの消毒は難しいため、予防・防除が大切です。 | 植え付け前に土壌消毒剤を予防散布するのがもっとも効果的です。また、マリーゴールドにはセンチュウを防除する効果があるので、混植するのも方法です。 |
| ナメクジ | 若い葉と花を食害します。見つけ次第捕殺するのが確実。捕殺後は食害された葉や花をきれいに剪定する。 | 多湿な場所を好むので、湿気が滞らないよう風通しを良くしましょう。 |
| ヨトウムシ | 葉裏に潜み、葉脈と丸形の食いあとを残して食害するヨウトウムシは、一晩で苗を食い尽くすほど食欲旺盛で、夜に活発になります。見つけ次第捕殺します。 | 被害を最小限に抑えたいため、夜、葉裏を中心に植物を観察し、食害がはじまる幼虫のうちに薬剤を散布する。 |
害虫による被害を最小限に抑えるためにはまず、日ごろのチェックが大切です。そして、植物が出すサインを見逃さず予防・対策を行いましょう!