丁寧にお世話をし、生長した植物を眺めるのは大変誇らしく、うれしいものです。しかし、中には生長が良すぎて樹形が乱れるものもあります。
そのまま枝葉を伸ばし続けると、風通しが悪くなり病害虫の被害に遭いやすくなったり、枝葉が込み合ってよい生長ができなくなります。また、必要以上に生い茂ると新芽や若い枝などに養分がまわりづらくなるなど、生長を妨げる様々な問題が生じてしまいます。
これらに対処するために、剪定と切り戻しを行います。
剪定
剪定とは、枝を切って樹形を整えたり、生育を促す作業です。きっちりと剪定された庭木・植木を見ると、その姿に見惚れるものです。ですが、見た目を美しくするだけでなく、込み合った枝葉を剪定することで風通しがよくなり、病害虫の繁殖を予防する効果も得られます。また、不要な茎や枝を取り除いた分、新芽へ養分をまわして生長を促してくれます。
剪定時期
剪定の適期は、大きく2つに大別されます。
①咲いた花が終わってからまだ花芽がつかない間の期間(植物の種類によって花芽が出てくる時期が異なるため、時期を把握しておくことが大切)
②花芽を目視確認しながら切ることができる花芽発生後(花芽が枝のどの部分につくかを、確認しておくのが大切)
誤った時期に剪定すると、花木の芽を切り落としてしまって、花が咲かない、場合によっては木が枯れる原因となります。植物の活動が低調となる冬に行うのが基本で、日本の場合には11月から2月に行う。サツキ・ツツジ類は開花後の5月から6月にする。
剪定バサミの正しい使い方
剪定バサミの刃は、受け刃(下刃)と切り刃(上刃)の2つからなります。剪定の時は、下刃の細いほうで茎・枝を支え、太身の切り刃に力を加えながら上下に回して切るときれいに剪定できます。切断中は、くれぐれも力で押し切ったり、左右にひねるなどしないようにしましょう。植物の繊維が傷んだり、刃がかける危険性があります。切る位置は、芽の上5mmのところを芽の向きと平行に切るのがポイントです。

芽の上5mmほどの箇所を芽と平行に切る。近かったり平行でないのはNG
剪定後の樹木のケア
剪定後の切り口は、樹木にとっては傷跡。傷跡が大きければ大きいほど癒合に時間がかかり、雨水や腐敗細菌、害虫などに侵され枯れてしまうこともあります。したがって剪定後はまず、切り口にヤスリをかけてなめらかにし、雨水がたまるのを防ぎます。また、侵されるリスクを軽減し癒合を促進するために、市販の薬剤(癒合剤)を塗っておきましょう。
切り戻し
切り戻しは、植物の生長を促し、新しい花を咲かせるために、茎や枝を切る作業です。また、切り戻しは”切り戻し剪定”と呼ばれることもあり、剪定方法の一つでもあります。狭義では枝を短く切る作業、広義では、樹形を整えることや芽摘みなどの作業も含みます。切り戻しを行うと、腋芽(葉の付け根にできる芽)を出して、花の数を増やします。
伸び過ぎた茎や枝は思いきって切り戻します。最初は切るのにちょっと戸惑いを感じるとも思いますが、植物にとって切ってあげることがより元気な生長につながります。