タネまきの基本
タネまきは、タネのサイズや性質によって、まく場所やまき方が異なります。育てる場所に直接タネをまく「直まき」は、大粒のタネ(ヒマワリやアサガオ)や移植を嫌う植物に適しています。一方、箱やトレーなどに土を入れてタネをまき、苗が育ったら移植を行う「箱まき」は、中〜小粒のタネに適しています。
また、植物のタネにはそれぞれ発芽の適温があります。一般的に、発芽温度より低い温度では芽が出ないことの多い植物ですが、たとえば、発芽適温が18°前後のパンジーを、30°を超える真夏にまいても、条件が合わず、発芽しにくいということもあります。したがって、タネまきは、その植物に合った気温下で行うことが大切です。
タネまきから育てる方法

上述の基本をおさえて、実際にタネまきを行います。下記3つのタネまきの方法を参考にまいていきましょう。
- ばらまき
文字通り、タネをばらまく方法で、タネを小〜細粒のタネ向き。タネが重ならないようにバランスよくまきたいので、半分に折った厚紙の上にタネを乗せて、少し高めの位置から全体にまくと、うまくまけます。 - すじまき
タネをまく場所に指先や板などで溝をつくり、その溝に沿ってタネをまく方法。中〜小粒のタネ向き。半分に折った厚紙の上にタネを乗せて、紙の縁を指で軽くたたいて落としていくとまきやすいです。 - 点まき
タネをまく場所に穴をつくり、2~3粒ずつタネをまく方法。大粒のタネ向き。あらかじめ穴の間隔をあけておき、発芽後によい芽を1本残して間引きする。
覆土と水やり
タネまき後は、タネの直径の約3倍の厚さで土を被せるのが一般的です。しかし、タネには、発芽に光が必要な好光性タイプと、光があると発芽しない嫌光性タイプがあります。それぞれの性質に応じて覆土の厚さを調節すると良いでしょう。
また、タネまき後の水やりは、水をかける勢いでタネが流れてしまうことがあるため、あらかじめ土をたっぷり湿らせておきます。さらに、発芽までは乾かさないよう湿らせた新聞紙やビニールをかぶせて、乾燥を防ぐ配慮が必要です。土が乾きそうになったときの水やりは、ジョウロのはす口を上向きにしてやさしく与えるか、箱まきの場合、水を張った容器にいれて、底低から吸水させるようにして与えましょう。
発芽までは、早くて3~4日、長ければ1ヶ月かかるものもあります。
間引きのタイミング
間引きとは、タネまきをして芽が出たあと、生育の悪い苗を抜き、元気の良い苗だけを残す作業です。この作業を怠ると、生長した葉と葉が重なり合い、日当りや風通しが悪くなって病害虫の被害にあったり、株同士が土壌中の栄養分を取り合い、細くてひ弱な株に育ってしまいます。そのため、健全な生育には間引きが欠かせません。
芽が出た後に間引くべき苗のポイントは、葉の色が薄いもの、茎が細く弱々しいもの、左右の葉が不揃いのもの、小さいものなどが対象です。株が密集していると、土壌中の根が絡み合っている可能性があり、残すべき苗も一緒に抜き取ってしまうことがあります。そのため、株が密集している箇所で間引きを行うときはハサミを使用して、不要な苗を切り取るようにしましょう。
ポット上げのタイミング
間引き後、本葉が2~3枚開く頃、土壌中では根が深く幅広く張っている状態となり、植物にとって窮屈な環境になります。そこで、ビニールポットなどに仮植えし、しっかりした苗に育てる作業に入ります。大きめのスプーンを使って、根を傷めずに掘り起こし、移植すると簡単です。
仮植えしたら、水を張った容器にいれて、底低からたっぷり吸水させます。その後、2~3日、直射日光に当たらない場所で、乾燥に注意しながら管理します。
タネまきの便利グッズ
タネまきをもっと手軽にできる便利グッズをご紹介します。
- ピート板
ピートモスを圧縮して乾燥させ板状にしたもの。水をかけて吸水させ、ふくらまさせて使います。吸水すると3~4倍の厚さに膨らみます。水もち、根張りがよく、タネまき後の管理も簡単 - 圧縮ピート
水をかけてふくらませ、中〜大粒サイズのタネをまきます。底低から根がはみ出してきたら、軽くほぐしたあと、そのまま植え付けが可能 - ピートポット
圧縮ピートで作られたポット。用土を入れて使い、根がポット下部のすき間から出てきたら、そのまま植え付けが可能 - 連結トレイ
製氷器のような形をしたトレイで、くぼみに用土を入れたところに中〜大粒サイズのタネをまきます。十分に根がついたらトレイから移植する - ロックウール
鉱物を高温処理した繊維のブロック。微粒サイズのタネをまき、十分に根がついたら1ブロックもぎ取り、そのまま植え付けが可能