Lesson3-2 肥料の種類と与え方

肥料は、植物が生育するために欠かせない栄養分です。人間でいうところの食事ですね。

本来、自然界では、昆虫や動物の糞や死骸、植物自体の落ち葉などが腐って、植物の栄養分となります。それによって生長した植物が、再び昆虫や動物のエサになるという循環が起こっています。したがって、山野に自生している植物は自ら生長することが可能なのです。

しかし、手入れの行き届いた庭やコンテナ栽培のような限られた土など、自然の循環が断ち切られた環境では、正常に育つための栄養分が不足します。ましてや、大きな花や実をつけるよう品種改良された園芸植物は、通常より多くの栄養分を必要とします。それを補うために肥料が必要となるのです。

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肥料の三要素

肥料は、おもにチッ素、リン酸、カリウムの三要素からなり、ほか16種の要素で構成されています。三要素の効果については下記を参照。

名称 効果
チッ素 植物を大きく生長させる働きを持つ。特にを大きくし、葉肥とも呼ばれる
リン酸 花や果実の生長を促す働きを持つ。実肥とも呼ばれる。
カリウム の生長を促す働きを持ち、病害虫に対する抵抗力をあげる。根肥とも呼ばれる。

肥料の種類

有機質肥料

動物や植物を原料としてつくられている。おもに、庭や菜園などの元肥に使われる。

  • 油かす
    ナタネや大豆などから油を絞りとったあとに残るカス。チッ素、リン酸、カリウム等植物の成長に必要な成分を多く含み、土の状態を改善するためにも使われる代表的な有機肥料。粉末タイプは元肥向き、固形タイプは置肥向きです。
  • ぼかし
    油かすや米ぬかなど、有機質肥料に、籾殻(もみがら)や土を混合し、発酵させた肥料。一般に有機質肥料は、土壌中の微生物が分解されることで初めて作物に吸収されることから、効くまでの時間がかかるとされています。一方、ぼかしは、あらかじめ発酵されていることから、土壌中の微生物が多く、効き目が早いとされています。さらに、有機質を原料に構成されているため、肥効が持続する。

化成肥料

無機物を科学的に合成してつくられた肥料。粒状、粉末、液状などがあり、元肥や追肥として使われる。

粒状タイプ

  • マグァンプK
    花付きをよくするリン酸を多く含み、長期間にわたって緩やかに溶出する緩効性の肥料。小粒、中粒、大粒の3タイプからなり、多くの植物に対応し、元肥や追肥として使います。
  • エードボール
    カルシウムを多く含む緩効性の肥料。効果が2~3ヶ月持続するのが特徴で、置肥として利用するのに最適。
  • プロミック錠
    リン酸を多く含む緩効性の肥料で、表土に置いて使用します。匂いが少なく、室内園芸に最適。

粉末タイプ

  • 微粉ハイポネックス
    水に溶かして使う即効性のある肥料。カリ(カリウム、肥料として用いる際には略称が使用される)成分を多く含み、植物の株を丈夫にし、熱さや寒さ、病害虫の抵抗力を高めます。

液状タイプ

  • ハイポネックス
    水に薄めて使用する経済的且つ多くの植物に対応する肥料。リン酸を多く含みます。
  • 汎用液肥
    肥料の三要素をはじめ、植物に必要な栄養がバランスよく配合されてある肥料。植物が肥料負けしにくく、多くの植物に対応しています。

その他、肥料3要素(窒素,リン酸,カリウム)のうち2成分以上を含むようにミックスされた「配合肥料」というものもあります。

活力剤

活力剤は、植え付け時や植物が弱っているときなどに元気を与えてくれます。ただし、国の定める肥料の基準に満たさないものであることから、肥料とは区別されます。肥料が主食だとすれば、活力剤はサプリメント(補助役)としての位置づけになります。

  • メネデール
    植物の植え付けや植え替え、株分け時のダメージを軽減し、弱った植物を回復させる効果が期待できます。水に薄めて使用します。
  • HB101
    スギやヒノキの針葉樹などから抽出した天然由来成分の活力剤。植物に活力を与えるだけでなく、薄めて土に散布することで微生物が繁殖し、土の状態を改善する効果が期待できます。

肥料の与え方

肥料の与え方は、2つに大別されます。植物を植え付ける前に、土へ施す「元肥」、植物の生育に応じて必要な栄養分を追加で与えるのが「追肥」といいます。

また、肥料の効き方も2つに大別されます。ひとつは、緩やかに長期間効く緩効性(遅効性ともいう)。ぼかしなど、発酵済みの有機質肥料や化成肥料のほとんどがこれに属します。もうひとつは、与えてすぐに効果が現れる即効性。すぐ効く反面、持続性は短い。液状肥料や一部の化成肥料がこれに属します。

肥料の与えすぎは植物を傷めるため、適量を守りましょう。