植物に適した土の条件は、根が水分や養分(肥料)を吸収しやすい環境です。すなわち、保水性と水はけがよいと植物は元気に育ちます。
園芸用土は、ベースとなる「基本用土」の他、植物の生育条件を整える「改良用土」、さらに基本用土の通気性や保水性、酸性・アルカリ性などの性質を調節してより良い環境に整える「調整用土」の3種類に大別されます。これらをバランスよく配合すると元気な植物が育つ土となります。
それでは、3種類の用土について詳しく学習していきましょう。

3種類の用土
①基本用土
- 赤玉土(あかだまつち)
保水性、通気性、排水性に優れた土。コンテナ栽培のベースとして使用されることが一般的で、粒の大きさは、大中小の3タイプがある - 鹿沼土(かぬまつち)
保水性、排水性に優れ、有機質をほとんど含まない酸性土。酸性を好むツツジ科の植物や多肉植物向き - 黒土(こくど/くろつち)
保水性、保肥性に優れ、有機質をたっぷり含む土。通気性と水はけには劣る - 田土(たつち)
保水性、保肥性に優れる粘土質の土。蓮などの水生植物向きで、一般の植物を育てるには向いていない。使用の際は、腐葉土などの有機質と混ぜ使います
- 日向土(ひゅうがつち)
通気性、水はけに優れ、粒が硬く、崩れにくい軽量の土。コンテナ栽培向きで、赤玉同様、粒の大きさが大中小の3タイプある
②改良用土
- 腐葉土
広葉樹の落ち葉を堆積、腐敗させたもの。基本用土にブレンドすれば、保水性、保肥性を高める。必ず他の土と混ぜて使う - ピートモス
水苔やシダなどが堆積し、腐食した強い酸性用土。軽くて、通気性、吸水性に優れる。酸性度(PH)調整にも使われる。 - バーミキュライト
蛭石(ひるいし)を高温処理し、元の容積の10倍以上に膨張させた土。軽くて、通気性、排水性、保肥性があり、基本用土と混ぜて使う - パーライト
通気性、排水性を高める効果のある白い粒状の土。、基本用土に少量(全体の1~2割程度)混ぜて使う - バーク堆肥
樹木の皮の部分(バーク)を発酵させて作った土。土中の保肥性、保水性、通気性を高める。微量の肥料成分を含むが、肥料としての効果はあまりない - 牛ふん堆肥
牛ふんと麦ワラやオガクズなどの植物性副資材を混ぜ、発酵させた堆肥の一種。繊維質に富み、水はけや通気性を向上させるなど、土中の状態を改善する効果が得られる
③調整用土
- 苦土石灰
マグネシウムを含み、酸性土壌に混ぜることで、酸性度を中和してくれます。肥料としての役割も持つ土 - 有機石灰
カキやホタテなどの貝殻を粉砕したものを原料とし、主成分が炭酸カルシウムで、苦土石灰と同じく酸性土壌を中和してくれます。苦土石灰に比べて、ゆっくり効くタイプ - 過リン酸石灰
化成肥料の一種で、水溶性リン酸を含み、アルカリ土壌に混ぜることで、アルカリ分を中和してくれます。一般に元肥で利用します。
特殊用土等
- 培養土
植物を栽培するために、基本用土とその他の用土が最初からブレンドされてある土で、必要に応じて追加でブレンドする。培養土には草花用、観葉植物用、サボテン用など数種類ある - 鉢底石
コンテナの底に敷く石で、水はけをよくし、植物の根腐れを防止する。小さなコンテナには不要 - 水ゴケ
湿地に生えるコケを乾燥させたもの。保水性と排水性に優れている。観葉植物の植え込みなどに使用されるのが一般的 - バークチップ
赤松や黒松といった松の樹皮を乾かし、チップ状にしたもの。主に、マルチングや装飾用に使われます。(マルチングとは、保湿効果や病害虫の発生を防ぐため、表土を覆うことをいいます。)
用土をブレンドする

コンテナ栽培向きの土の作り方
自分でブレンドする場合
①赤玉土6、腐葉土or堆肥2、バーミキュライト2の割合で混ぜ合わせる。
②土1ℓに対して、緩効性肥料を約5g混ぜ合わせる。※(②の手順で元肥を施していても、その後の追肥は必要です。)
市販の培養土を使う場合
購入後そのまま使える鉢花育成用の培養土は便利です。元肥が入っているかどうかを確認し、入っていない場合は緩効性肥料を足してから使いましょう。