Lesson8-1 ベランダガーデニングの基本

前章のコンテナガーデンは、庭がなく、狭いスペースでもできる都市型のガーデニングとして発展してきました。そのコンテナガーデンを存分に楽しめるのが、ベランダの空間を利用するベランダーガーデニングです。

草花の観賞用のみならず、ハーブや野菜などの家庭菜園からベランダガーデニングを始める若年層が増え、今もっともポピュラーなガーデニングスタイルになりつつあります。

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ベランダガーデニング実施における4つの基本

①防災の留意点を知っておく

マンションのベランダには、災害時に非難するための防災設備がいくつかあります。一つ目は、隣家との境界にある”隔壁パネル”で、非常時の避難用通路としての役割を持ちます。二つ目は、”避難用ハッチ”で、緊急時にはここから梯子を下ろして階下に避難できる役割を持っています。

消防法ではこれら2つの防災設備をふさがないことが定めらているため、その点に注意してガーデニングを行います。

②近隣への配慮

ベランダガーデニングは、病害虫の発生リスクが低いものの、必要に応じて薬剤を与えます。ここで注意したいことが、”薬剤の散布方法”です。快晴時や風が強いときの散布は、薬剤が飛び散り、隣家の洗濯物やペットに悪影響を与えかねません。そのため、薬剤は曇りどきや風のないときに散布するなどの配慮が大切です。コンテナをすっぽり覆うビニール袋の中で散布すればさらに安心です。

また、”肥料の取り扱い”にも注意する必要があります。においの強い有機肥料は近所迷惑になります。そのため、有機肥料を使用する場合は、臭気が気になる春や夏を避け、冬の間に元肥として使用したり、化成肥料をメインに使用すると良いでしょう。

他にも、水やりのときは、階下へ水が飛び散らないように配慮したり、土ぼこりが舞い上がらないように軽く散水するなどの配慮も大切です。

③ベランダ特有の環境を知る

ベランダはほとんどの場合、コンクリートでできています。夏になるとコンクリートは熱を吸収し、その輻射熱でベランダの温度を上昇させてしまいます。一方、冬は冷え込みが厳しく、コンクリート床はとても冷たく、植物にとって過酷な環境と言えます。そこで、コンテナの下にウッドデッキやレンガを置いて、植物がコンクリートから受ける影響を最小限にとどめるなどしましょう。

また、風当たりが強いのもベランダ特有の環境です。風当たりが強いと、草花を傷つけるだけでなく、土の乾燥も早く、枯れてしまうこともしばしばあります。毎日出かける前には、その日の風当たりをチェックして、家の中に避難させたり、背の高い植物はあらかじめ倒しておくなどするとよいでしょう。

予防策としては、ハンギングバスケットやウォールポットなど、吊るすタイプのコンテナは、吊るすときにしっかりと留める。特に風あたりが強いベランダには、トレリスを取り付けるなどしましょう。

④ディスプレイの仕方

ベランダガーデニングの基本のディスプレイは、室内とのつながりを感じさせる”アウトドアリビング”です。室内から植物を観賞するスタイルで、部屋からの眺めを大切に考えて飾りましょう。

ベランダは、その限られたスペースがゆえに、コンテナ同士の間隔が近くなり、どうしても窮屈な印象になりがちですが、小さい花を中心にコンテナを充実させると、狭さを感じさせない視角効果が得られます。

外からの景観を美しいベランダにしたい場合は、赤や黄色などの明るい色で大きめの花を飾るのが良いでしょう。フェンスの内側に背の高い草花を植えたコンテナを置いたり、ハンギングバスケットを高めの位置で吊るすだけでも飾り栄えします。