Lesson6-1 挿し木・取り木・伏せ木

植物を殖やす方法は、植物の種類によって異なります。Lesson6-1では「挿し木・取り木・伏せ木」を、Lesson6-2では「株分け・分球」という植物の殖やし方を学習していきます。

挿し木

生長期の植物の茎や枝の一部を切り、土に挿して発根させ、新しい株を作ることを挿し木といいます。また、挿し木は草本植物と木本植物によって、方法に多少の違いがあります。それぞれの方法について学習していきましょう。

草本の挿し木

草本植物とは、木本(もくほん)に対応する概念で、植物の地上に出ている部分が木質ではない植物の総称です。草本植物のほとんどは挿し木可能で、人気なものにペチュニア、マーガレット、ゼラニウム、ブルーデージーなどがあります。

草本挿し木の方法

  1. 若い新芽のある茎を、10~15cmほどの長さでカットし、挿し穂にします
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  2. カットした茎の下葉を取り除く。葉の多いものは葉の1/3ほどを取り除く
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  3. カッターなどの鋭利な刃物を使って、切り口が斜めになるよう7~10cmほどの長さでカットし直します(水分を吸収する面積を増やすため)
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  4. 挿し穂をコップに入れた水に30分ほどつけます。その際、葉を濡らさないよう注意してください
  5. 鉢にバーミキュライトや赤玉土を入れて、割り箸や枝木などで挿し穴を空けて挿し穂を挿します
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  6. 水やりをして挿し穂と土を密着させて、手で土を押し固めます
  7. 風通しがよく、半日陰など日の光がやさしい場所に置き、発芽まで待ちます(おおよそ2~3週間)
  8. 発芽後、本葉が4~5枚ついたら、大きめのコンテナや花壇などに植え替えます

木本の挿し木

木本の挿し木は、さらに2つの殖やし方に大別されます。

一つは葉を持つ枝を挿す”緑枝(りょくし)挿し”です。土に挿したあと、ビニールで覆って密閉し、適度な湿度のなか発芽を促す方法。緑枝挿しの適期は、気温の高い6~7月中旬になります。おもにツバキやキンモクセイなどの常緑樹などを挿し木に使います。

二つ目は”休眠枝挿し”です。落ち葉を落とし、休眠に入る落葉樹の枝木を挿し穂に使います。休眠枝挿しは春になってから挿し木します。

緑枝挿しの方法

  1. 枝先がまだ緑色で適度な弾力がある若い枝を、カッターなどの鋭利な刃物で斜めに切ります。先端部分ではなく、発根能力の高い幹や根に近いほうの枝を選びましょう。
  2. 下葉を取り除いた挿し穂を、コップに入れた水に1時間ほどつけます
  3. プラスチック素材の鉢にバーミキュライトや赤玉土を入れて、割り箸や枝木などで挿し穴を空けて挿し穂を挿します
  4. 水やりをし、湿度を保つために、ワイヤーで骨組みを作るか支柱を立てて、ビニールで全体を覆って密閉します。(乾燥しないよう管理すること)

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休眠枝挿しの方法

  1. 落葉中の枝を長さ25cmほどに切り揃え、上下バラバラにならないよう束ねる
  2. 土中に埋めて保存するか、水で湿らせた新聞紙にくるんで、ビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します
  3. 春、保存場所から取り出し、挿し穂の長さを15~20cmに切り揃え、1時間ほど水につける
  4. 鉢にバーミキュライトや赤玉土を入れ、挿し穂を挿して水やりする

取り木

殖やしたい植物の枝の表皮を剥ぎ取り、そこから発芽させて殖やす方法です。枝の表皮に切り込みを入れ、表皮を一周に渡りぐるりと剥がす行為を環状剥皮(かんじょうはくひ)といいます。手間はかかりますが、発根の成功率が高くなり、挿し木に比べて大きな苗を得ることができます。

取り木の適期は、4~6月頃の高温多湿の時期。殖やせる植物は、ゴムの木、梅などがあります。

取り木の方法

  1. 発根させたい部分に、ナイフで縦2〜3cmの切り込みをいれ、切り込みから1周分の表皮を剥がす(環状剥皮)
  2. 吸水させた水コケを、環状剥皮した部分に巻き付ける
  3. 水コケの乾燥を防ぐため、上からビニールを巻きつける
  4. 湿度を保つためビニールの上下を紐で縛って密閉する
  5. 発根したら親株から切り離す
  6. ビニールと水コケを外して植え付ける

伏せ木

よく伸びた茎や枝の一部を地面に埋め、根が出たところで親株から切り離して殖やす方法。根元からたくさんの枝を伸ばすクチナシ・ユキヤナギ・コデマリ・オウバイなどの植物に向いている発根方法です。

伏せ木の方法

  1. 外向きに伸びている若い茎や枝を選び、折らないように地面に誘引します
  2. 環状剥皮した部分を5~10cmほど土に埋める(茎・枝が地表に出てしまう場合は、ワイヤーを折り曲げたもので固定しましょう。)
  3. たっぷり水やりをする
  4. 発根したら、親株と切り離して植え付ける